広東省社会科学院総合開発研究センター主任で域外ホットマネー研究家の黎友煥・氏は中国メディアの取材に対し、3年以内に中国本土で局地的あるいは構造的な金融危機が起こると指摘。不動産と地方債、シャドーバンキングの三大バブルがその導火線になるとの懸念を示した。黎氏は今年7月から中国の金融危機の可能性について調査・研究を行い、関係機関にリポートを提出。黎氏によれば、現在行われている審計署(日本の会計監査院に相当)の全国規模の監査は、黎氏らの調査がきっかけになったという。
「懸念されるのは、中国の金融危機が今年9月か10月ごろにその兆候を表し、年末にバブル崩壊が起こること。だが関連機関に意見を求めても『可能性は低い』という返事しか返ってこない。今年(金融危機が)起こらなければ来年のリスクはさらに高まる。来年起こらなければ、再来年のリスクはそれ以上に高まる。絶対に3年持ちこたえられない」。黎氏はこのように語り、不動産と地方債、シャドーバンキングの三大バブルが三大導火線になると指摘。「中国の実体経済はひど過ぎる。三大バブルの膨張が病的な実体経済をもたらしたことで、局地的あるいは構造的な金融危機の発生が避けられなくなった」との見解を示した。
黎氏は、地方の債務状況は地方政府が設立した投資会社が子会社、孫会社をつくるというふうに何層にも重なり、複雑過ぎて過去の審計署の調査方法では分かり得ない。しかも、地方政府は依然として土地の譲渡で返済資金をやり繰りしている。シャドーバンキングについても、上海株式市場の光大証券誤発注の裏にホットマネーがあり、調査が進めば金融界で過去に行われた不明瞭な取り引き方法や手段があらわになる。本土では財テク商品や城投債が広く出回り買われているが、シャドーバンキングと地方債は同じように膨張スピードが速く、止む気配がない。いずれも弾けるのは時間の問題だと語った。
黎氏はまた、統計データ水増しの可能性を指摘。7月の調査・研究では本土経済は以前よりも悪くなっていたが、8月に公布された7月の統計は非常に良いものだった。数字の信ぴょう性は疑わしく、特に7月の本土の貿易統計は本土と香港とでは数字が明らかに異なり、本土と米国とでも異なる。統計データの水増しの可能性はいなめないと述べた。
米国のQE3(量的緩和第3弾)の縮小が本土経済に与える影響については、仮に9月に縮小が始まれば本土で大規模なホットマネーの引き上げが起こり、それをきっかけに金融危機が早まると予測。本土の専門家たちが人民元の国際化と自由兌換化の加速が資本流出を引き起こし、金融危機の引き金になるとの見方を示していることについても同意見だと答えたが、どのように国際化を進めるかは関連部門が十分に討議しており、下半期に再び大きな動きがあるだろうとコメントした。8月24日付け『鳳凰網(ifeng.com)』が『財経網』の報道として伝えた。