中国本土では養子縁組を装った乳幼児の売買が後を絶たず、出産したばかりの女性がネットに自分の子供の写真を載せ、有償で引き取ってくれる里親を探している。香港紙『太陽報』の記者が、広州市で本土女性と香港人が新生児の養子縁組取り引きを行う過程を取材した。
香港人女性の李さんは本土のインターネットコミュニティに掲載された女児の写真に目が止まった。女児は広州市内で生まれたばかり。女の子のいない李さんは養子にしたいと考え、女児の母親と連絡を取った。母親は26歳の小柄な女性で、補償金として8万元を要求。「売るんじゃなくてあなたに養子に出すの。子供はあなたが自分で生んだと言えば、それでもうあなたの子よ」。女性はそう語り、養子縁組が成立すればネット上の子供の情報はすぐに消して証拠は残さないと自ら約束したが、李さんは子供を香港に連れ帰るのが難しいと考え養子縁組をあきらめた。
ワンストップサービスの代行業者も
本土の養子縁組関連のインターネットコミュニティにはこのような乳幼児の写真が多数数掲載されている。補償金は2~10万元、性別は女児が多く、男児の場合は障害のある赤ちゃんなど。親の多くは子供を養う経済力がないか未婚のまま出産した女性、もしくは一人っ子政策により2人目以降の子供の罰金が払えないなど。ネット上には各種手続きをワンストップサービスで代行する業者もあり、「一週間で出生証明書や戸籍などすべての手続きが完了。金額は6000元余り」などと記されている。また、業者と里親が顔を会わせる必要はなく、ネット上に双方の身分証の番号と子供の名前、生年月日、身長などを入力すればすぐに代理人申請で出生証明書と戸籍を取得できるという。
本土の法令では、子供を売買した親は資産没収と罰金あるいは刑事責任を問われる。弁護士は、本土では児童売買が禁止されているので養子縁組や里親、補償金といった言葉を使って事実をあいまいにしようとしていると指摘。香港人が仮に虚偽の文書で養子にした本土の子供の香港居住権を申請した場合、最高14年の実刑が課される。入境処のスポークスマンは、いかなる人でも不法な手段で香港の居住権を得たことが明らかになれば、居住資格の剥奪と強制送還になるとコメントした。9月14日付け『太陽報』が伝えた。