9月23日付け『星島日報』は中国本土のeコマース(電子商取引)最大手、阿里巴巴(アリババ)集団の香港上場の可能性は低いとの見方を報じた。同集団が求めるパートナー(幹部)制度による「同じ株でありながら有する権利は違う」という二重構造の特殊株式が香港証券取引所(香港交易所/HKEx)では認められておらず、上場委員会や証券監督会の認可が得られそうにないからだ。フェイスブック以来、世界が注目する巨大IPO(新規上場)は米ニューヨーク市場に向かう公算が高くなっている。
パートナー制度がネックに
アリババ集団のパートナー制度は、創設者の馬雲(ジャック・マー)会長の権力を上場後も維持するため2010年に設けられたといわれる。パートナーは集団内の幹部20人。集団側はパートナーに過半数の役員の指名権を与え、指名された役員が株主から拒否された場合、パートナーが何度でも役員を指名し続けられる二重構造での上場を希望している。現在、香港証券取引所の上層部はアリババ集団と積極的にコミュニケーションを取っており、指名の回数に上限を設け、指名された役員を株主が拒否し続けた場合、株主に役員を選ぶチャンスが与えられるという折衝案を協議している。だが、この折衝案もすべての株主を平等に扱うとする香港証券取引所の上場規則に抵触する恐れが高く、上場委員会と証券監督会の同意が得られない可能性がある。
近々、上場委員会はこの折衝案について討議する予定だが、IPOの規約に詳しい人物は、この案では一部の人間に特権を与えるという問題の本質は残ったままだと指摘。数年前にロシア・アルミニウムが財政問題を抱えたまま上場した際は、投資家に対する額外の保障を設けることで証券監督会の批准が得られたが、今回のアリババ集団のケースは規約の原則に関わる問題だけに、集団が特殊株式の要求を完全に放棄しない以上は香港での上場は難しいとみている。