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2013.12.03

上海自由貿易区、個人の域外投資を開放

 中国人民銀行は、自由貿易試験区内の企業または個人に対してさらなる越境取り引きの便宜を図る。12月2日に同銀行が公布した金融に関する提案『関於金融支持中国(上海)自由貿易試験区建設的意見』で明らかになった。
 実施されれば試験区で就業し一定の条件を満たした個人は、証券投資を含む各種域外投資を行えるようになり、QDII(適格海外個人投資家)の制限は事実上撤廃される。また、試験区に登記する外資系企業は上海の証券および先物取り引き所での売買が許可される。

口座内の外貨を自由換金
 提案は計30条に上り、内容は資本プロジェクトの開放や人民元の越境使用の拡大、利率の市場化の推進および一歩踏み込んだ外貨管理改革など。中でも最大の目玉は資本プロジェクトの開放だ。

 規定では試験区の住民は外貨自由貿易口座の開設ができ、一定の条件を満たせば口座内の外貨を自由に換金できる。また、試験区に勤務し、一定の条件を満たした個人は証券投資を含む域外投資ができる。試験区内の個人経営の店舗は経営上の必要があれば域外の本店への貸し出しができる。
 中国国家外為管理局の規定によれば、本土中国人は1人年間最大5万米ドルまで換金が許されているが、個人での域外への直接投資は行えず、QDIIにのみ域外投資を許可している。だが、審査のプロセスは複雑で批准までに時間が掛かる。
 今後は個人だけでなく、試験区内の企業は上海の証券および先物取り引きに投資でき、域外の本社は試験区内で人民元建て債券を発行できる。中資系企業は域外の証券投資と域外の金融派生(デリバティブ)商品の投資業務を展開でき、さらに域外から外貨資金を持ち込める。
 現在、域外投資家の需要は中国本土の株と債券投資だが、QFII(的確海外機関投資家)かRQFII(人民元適格海外機関投資家)のライセンスの取得が必須で、限度額も定められている。試験区での人民元建て債券の発行は、香港で発行されている人民元建ての「点心債」に似ており、企業にとっては世界各国・地域の子会社の財務管理が試験区内ででき、域外での外貨管理の煩わしさから開放される。

現段階ではリスクも
 ただ、内容はまだ精査する必要がありそうだ。今回の試験区の提案について上海財経大学グローバル経済・貿易学科の陳波・副主任は、提案の一部規定は依然あいまいだと指摘。例えば試験区の金融期間と企業はともに域外から人民元建て資金を借用できるが、オフショアとオンショアでは人民元の利率が異なるため、裁定取引のリスクが発生する可能性がある。中国銀行業監督管理委員会(銀監会)や上海市の関連部門によるさらなる細則の策定が必要になるとコメントしている。12月3日付け『新京報』が伝えた。

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