今年2月に人民元決済業務がスタートした台湾で、早ければ半年以内にRQFII(人民元適格海外機関投資家)を利用したETF(上場投資信託)の売買が行われる見通しとなった。台湾証券取引所の林火燈・総経理によれば、すでに台湾の金融機関3、4社が強く関心を示しているという。海外投資家にとってはA株市場の投資の選択幅が広がることになる。
台湾ドルと人民元で売買
台湾では今年1月25日に中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行台北支店の間で人民元業務決済協定が調印され、中国本土の証券市場への人民元立て投資を認めるRQFIIのテストエリアに台湾が加わることが決まった。限度額は1000億人民元。今年の夏ごろ林総経理は、台湾のRQFII ETFは人民元立て債券「宝島債※」の後に続く人民元建て商品になるとコメントしていたが、目下のところ香港の「双櫃台(ダブル・カウンター)※」を手本に、人民元と台湾ドルの両方での取り引きが可能になるもよう。
台湾当局の公布では、台湾の人民元預金は11月末で前月比25.9%増の1551億2300万人民元となり、1年足らずで香港の10月末までの預金高7816億人民元の20%に達している。12月17日付け『香港経済日報』などが伝えた。
※宝島債は台湾の「櫃台売買中心(証券取引所に近い取り引きセンター)」で取り引きされる人民元立て金融商品。香港の「点心債」と似ており、規模は100億人民元。
※双櫃台は売買モデルの一つ。投資家は香港ドルと人民元で証券を売買でき、さらにカウンター(金融機関など)を越えた売買も可能。例えば、香港ドルで証券を購入した後、同じ日に人民元で売ることができる。だが、同じ証券でも香港ドルの取り引きカウンターと人民元の取り引きカウンターはマーケットが異なり、各カウンターの需要と供給によってもレートが異なるなど為替リスクがある。