1989年の天安門事件から25周年に当たる6月4日、香港市民支援愛国民主運動連合会(支連会)は事件の犠牲者を追悼する6・4キャンドル集会をビクトリア公園で行った。過去最高に匹敵する参加者を集めたほか、集会では2017年に予定されている行政長官の普通選挙問題や「セントラル占拠行動」にも言及、普通選挙をめぐる住民投票や7月1日に行われる恒例7・1デモへの参加が呼びかけられた。民主派は一連の活動で勢いをつなぎセントラル占拠の実施に持ち込もうとしている。
「真相」見極め訴える団体も
集会の参加者数は主催者発表で18万人余り、警察の推計で9万95000人。主催者発表では12年と並び過去最高だが、警察の推計では過去最高だった10年の約11万人を下回った。支連会はこれに先駆けた1日、天安門事件追悼のデモ行進を開催。参加者は主催者発表で3000人、警察の推計ではピーク時に1900人。昨年の主催者発表1600人、警察の推計1200人を上回り、10年以降では最高となった。
一方、昨年に続いて追悼活動の分裂も見られた。尖沙咀の文化中心前では地元派組織「熱血公民」が独自に集会を開催。ビクトリア公園の集会に不満を持つ市民が集まり主催者発表で7000人、警察の推計で3060人が参加した。
今年は天安門事件に対し支連会など民主派の見方に異議を唱える活動が現れたのも特徴だ。1日は天安門事件に疑問を呈する組織「六四真相」がデモ隊の通過する湾仔の修頓球場で展示を行い、事件当時、天安門広場内では死亡者は出ていないことなどを指摘した。親政府派団体「愛港行動」も六四記念館のあるビルの前で事件当時に多くの戒厳部隊兵士が殺された写真を展示。支連会はこうした事実を隠し市民を25年間ミスリードしてきたと訴えた。4日の集会が行われた公園周辺では親政府派団体「愛港之声」がビラ配りなどを実施。メディアは学生の死亡者数を誇張し兵士の死傷に触れていないと指摘し、市民らに事件の真相を見極めるよう呼びかけた。
愛港之声などは6・4集会が特定勢力の政治目的で開催されていると訴えている。現に集会は単なる天安門事件の犠牲者追悼ではなく、普通選挙をめぐる住民投票、7・1デモ、ひいてはセントラル占拠への動員を図る場ともなっていた。住民投票は政府に要求する行政長官選挙の改革案を決めるもので、電子投票が6月20~22日、直接投票が22日、12カ所の投票所で行われる。
7・1デモでは主催者の民間人権陣線が参加者数見込みを例年の倍以上に当たる10万人として警察に申請。「住民直接指名、職能別選挙枠廃止」をテーマに掲げ、ビクトリア公園からセントラル遮打道の歩行者天国まで行進。その場で午後11時まで集会を開催する。集会ではセントラル占拠の発起人3人がスピーチし、非暴力抗争の訓練も行うが、同日にセントラル占拠を実施する計画はないという。だが香港最大の学生組織、香港専上学生連会(学連)の周永康・秘書長は政府本庁舎や立法会議事堂などの占拠をほのめかした。(記事提供:『香港ポスト』2014年6月20日号)>>>more