香港返還17周年を迎えた7月1日午後、51万人の市民が参加する大規模なデモ行進が行われ、翌未明にセントラルのチャター・ロードで集会を行った学生グループら511人が香港警察に連行された。香港が中国本土に返還されて以来、一度にこれだけ大量の逮捕者が出たのは初めて。
7月1日のデモ行進は毎年行われているが、2017年に行政長官選挙を控えた今年は政治制度改革が最大の焦点となり、参加人数は2004年の53万人(主催者発表)に次ぐ規模となった。参加者らは「自分の政府は自分で選ぶ」「自分の香港は自分で救う」と叫びながら30度を超える暑さの中を行進した。
民主派団体「セントラル占拠行動」は数日前から学生グループに対し、まだ行動を起こす時ではないと呼び掛けていたが、デモの最終地点となったセントラルのチャター・ロードで行われた集会で、「香港専上学生聯会(学聯)」「学民思潮」などの学生グループが「セントラル占拠を早めに行おう」と呼び掛け、約1000人が徹夜で座り込みの抗議行動を行った。このため香港警察は7月2日未明に強制排除を行い、学生ら511人が警察に連行された。
香港では普通選挙の導入方法をめぐって民主派団体と中国中央政府の間で意見が対立している。中央は先きごろ、白書で香港の自治は中国の統治下にあり、裁判官ならびに政府職員は愛国者でなければならないと明言。「セントラル占拠行動」が行った非公式の住民投票では、この白書の内容に不安を感じた多くの市民が投票に参加した。
投票者数約80万人のうち91%が立候補者を市民が直接選ぶ選挙制度を支持したが、中央はこの方式を認めていない。「セントラル占拠行動」は、市民が選んだ導入方法を特区政府が受け入れない場合、香港の金融街セントラルで座り込みの抗議行動を行うとしているが、そのタイムスケジュールは明かされていない。
7月1日のデモには親中派の議員が新界北東部のニュータウン開発の準備工程の予算を承認したことに反発する新界東北部の住民も参加した。
住民らは6月6日に立法会を占拠しようとして警官隊と衝突。けが人を出す騒ぎとなった。その後、6月13日夜に「学聯」「左翼21」「香港人優先」など8団体とともに立法会議事堂へ突入。建物の一部を破壊し、警備員が負傷。21人の逮捕者が出ており、一部メディアは「セントラル占拠行動の予行演習」と指摘していた。
ニュータウン開発計画は、新界東北部に人口15万人の街を開発するというもので、1998年から構想され2007年には10大インフラ計画の一つに加えられた。だが、深圳市民がビザなし滞在できる街をつくるといった計画が浮上したため、中国本土との融合に反発する政治問題に発展している。7月2日付け香港各紙が伝えた。