香港の梁振英・行政長官は7月15日、全国人民代表大会(全人代)に2017年の普通選挙に関する2つのリポートと2016年の立法会選挙についてのリポートを提出した。5カ月間かけて市民の意見を求め、それをまとめたものだとしている。
うち2017年の普通選挙について、1つのリポートは市民の意見として、1つは自身の名前で提出しており、市民の意見としては立候補者は香港基本法にあるように政府の指名委員会が指名する、行政長官は愛国者として一定の基準を満たしていなければならないといった中国中央政府の見解と同様の意見が香港の主流を占めると報告されている。一方、自身の名前で提出したリポートには市民による立候補者選出を望む声が大きいといった内容を盛り込んだ。
民主派団体「セントラル占拠行動」は梁長官が全人代へリポートを提出する前に担当閣僚らと面会させるよう要求していたが、面会は実施されなかった。同団体は政府が拒否あるいは無視した場合、2週間にわたって学校、大学、会社などでストライキを行う構えをみせている。
梁長官は自身の名前で提出したリポートに市民による候補者選出について盛り込んだものの、民主派は猛烈に反発している。中央は8月末に政治制度改革に関する勧告を行うことになっており、その内容によっては「セントラル占拠行動」はセントラルでの座り込みの抗議行動を行うとしている。勧告が発表された後であれば8月末に行われる公算が高く、実施されれば香港の金融街の道路は全面封鎖となり、香港経済に大きな影響が出るとみられている。
セントラル占拠行動は、実行前にメンバーが逮捕される事態に供えて、代わりの要員や法律家を準備していると語り、参加者への十分な食料や医療チームの用意もできているとしている。8月末は学生団体も民主化要求運動を予定しており、混乱が予想されている。
今回のリポート提出は普通選挙実現への5つのステップのうちの最初のステップ。第2ステップは8月下旬に北京市で開催される全人代の常務委員会でこのリポートを受け入れるかどうかを決め、前述の勧告を行う。
リポートが通過すれば、特区政府は全人代の決定に従い年末に具体的な方案を作成して再度市民に意見を求める。第3ステップで3分の2の議席の賛成を得て、第4ステップで行政長官が議案に同意し、最終ステップで全人代の批准が下り、2017年に1人1票の普通選挙が実現する筋書きとなっている。7月14、15日付け香港電台(RTHK)、香港各紙が伝えた。