昨年のある調査で、広東省の梅毒感染者は近年増加しており、発病率は中国本土で最も高いことが分かった。省内に風俗産業が蔓延している上、女性は梅毒に感染しても自身で気づきにくいことが主な原因のようだ。
皮膚科医によると、梅毒は一度感染すると治らない病気で、初期にはほとんど症状がないため、血液検査で初めて感染に気付くケースが多い。最も効果的な予防法は1人のパートナーとだけ性交渉を持つことだが、それが難しい場合はコンドームを使用することで感染のリスクを下げることができる。感染した場合は、ペニシリン注射と内服薬で治療をするという。
梅毒は梅毒トレポネーマというウィルスの感染者と接触することで感染する。潜伏期間は9日から90日ほどで、ほとんどはウィルス接触から2~4週間で発病している。
第1期の症状は、性器あるいは皮膚がただれてくる。男性は自身で気づきやすいが、女性は検査で初めて分かることが多い。
第2期は、ウィルスが全身に広がり、発熱、倦怠感、痛みやかゆみのない赤い発疹が表れる。その後、潜伏期に入り、症状はいったん収まるため、病院の血液検査でしか感染の有無を確認することができなくなる。
第3期は末期となり、数年後から十数年後に症状が表れる。ウィルスは心臓から大脳にまで影響を及ぼし、失明、各種体の障害や精神障害などを引き起こし、ひどい場合は死に至るという。
広東省に隣接する香港でも梅毒感染は増加傾向にあり、香港衛生署の資料によれば、過去数年間にわたって毎年約1000件の梅毒感染例が報告されている。今年1月から3月は昨年同期比3件増の25件だった。
8月4日には香港でも梅毒に感染したトラック運転手の59歳の男性が、14歳年下の妻に感染させてしまったのではないかと悩み、衛生署の診療所で検査結果を聞く前に5階トイレの窓から飛び降り自殺を図った。男性は病院に運ばれたが重体だという。
男性は今年2月に梅毒のウィルスが脳に回り、妻を感染させたのではないかと気に病み、検査結果を聞くプレッシャーに耐えられなかったもよう。梅毒が引き起こす悲劇を物語っている。8月5日付け『太陽報』などが伝えた。