先きごろの金価格の下落により、中国本土では金製品の購入熱が高まり、メーデーの連休中、本土や香港の貴金属店では金のアクセサリーなどが飛ぶように売れた。
香港の貴金属店では連休前から需要を見越し、「周大福」「周先生」「六福」などの貴金属チェーンは連日徹夜で金製品の製造を行い在庫の確保に努めたが、それでも品切れとなる店が続出。空っぽのショーケースをうらめしそうに見つめ、肩を落として店を出る本土客も多く見られた。
周大福の入店待ちの行列に並んでいたある本土男性は自身でも不思議な様子で、「金を買うのに、まるで白菜でも買うような気分」と語った。この男性は数週間前にも香港を訪れ金のアクセサリーを少し購入したが、本土に戻ると妻から「なんでもっと買ってこなかったの!」と言われ続け、何度も脚をつねられたため再度購入に訪れたという。
今年のメーデーの連休期間中、香港を訪れた旅客は前年比9.5%増の延べ49万人余りで、うち本土観光客は延べ39万人と前年比10%余り増加した。ただ、今年は広東ロードやコーズウェイベイといったショッピングエリアに例年ほどのにぎわいなく、貴金属店だけが一人勝ちの様相を呈した。小売業界は、自由旅行が解禁されて数年が経ち、本土観光客の消費モデルがこれまでのように目に付いたものを手当たり次第に購入するのではなく、的をしぼった消費行動に移行しつつあると指摘している。
金価格は本土中国人の旺盛な購買欲により値を戻しつつあるようだ。また、金のほかに大衆向けの比較的廉価なダイヤモンドも人気を集めており、本土の中産階級の需要が急激に増加しているため世界的に価格が高騰しているという。5月2日付け『星島日報』、香港電台(RTHK)、now.com、『明報』などが伝えた。