香港の立法会(国会に相当)が揺れている。急進民主派の議員による議事妨害で予算案の審議が通らず、このままでは市民生活に影響をおよぼす恐れも出ている。
立法会では4月17日から2013/14年度財政予算案の予算申請の2回目の審議が行われたが、急進民主派の議員は修正案を多数提出し議事妨害を図った。修正案の主な内容は福祉の充実にあり、社会民主連線(社民連)と人民力量の議員4人は700項目余りの修正案の中で特区政府に市民皆年金の推進や現金支給を迫った。
修正案の提出からすでに1カ月近くが経過。仮に6月までに予算案が通過しなければ臨時予算が切れる5月末に公務員給与、社会福祉手当、生活保護などの支給に支障をきたす恐れがあり、特区政府と親政府派議員に緊張が走っている。
そんな中、曽俊華(ジョン・ツァン)財政長官は5月12日に公式ブログを使って議事妨害を批難。「予算申請が5月中に立法会を通過しなければ多くの部門が6月には資金不足に陥り、医療、教育、執法、司法など公共サービスに影響する。7月初めに支給される福祉手当も影響を受ける」として、社会に大きな混乱を招くと述べた。7月分の電気代補助が難しくなるほか、公共住宅の家賃免除、生活保護の追加支給などの貧困対策も先送りせざるを得なくなるもよう。16日に各部門トップを集めた緊急会議を開催し、対応策を検討する予定だ。
一方、立法会の曽鈺成・議長は13日、議事妨害を阻止する決定を下した。人民力量と社民連が提出した修正案に関する弁論は14日午後で終了とし、16日に採決に移るという(13日付け香港電台・RTHK)。民主派の中でも事の重大さを察知した民主党、公民党、工党は4月15日の段階ですでに提出した修正案を撤回し議事妨害には加わらないと表明している。