中国本土の地方政府の巨額債務がまた1つ明らかになった。中国本土紙『中国経営報』によれば、湖北省武漢市の2012年6月末までの負債額は約2037億元に達し、現在のところ利子だけでも毎年三百数億元、2013~2014年のピーク時には1日1億元のペースで返済しなければならず、同市では多くのプロジェクトが停止か建設速度を落として進められており、新規プロジェクトの着工も見送りになっているという。
行き過ぎた都市の拡張
この記事は『中国経営報』が財政部の湖北省関係者から得た武漢市の債務調査リポート『対湖北省武漢市本級地方政府性債務管理調査与思考』を元に書かれており、国務院は2010年に武漢市を中国中部地域の中心都市に位置付けたが、同市は国家の中心都市、世界的な都市を目指し、都市計画を拡張し続けた。その結果、市全域の今年のインフラや不動産工事などの総件数は1万1000件余りに上り、その密度は1平方キロメートル当たり1.3件、街の至る所が掘り返される状況になったと記されている。
このような常軌を逸した数の建設工事により地方政府の債務も雪だるま式にふくらみ、2012年6月末までの武漢市の債務は約2037億元となった。今年の債務はまだ公布されていないが、昨年より増加しているとみられている。
武漢市洪山区の住民は、「計画では白沙洲ニュータウンの範囲内に複数の道路が建設され、とっくに開通しているはずだったが、工事はもう何年も延期になったまま」と語る。道路の不通は住民の日常生活に深刻な支障をきたしているという。武漢市の都市建設五カ年計画では、2012~2016年に8000億元を投じて鉄道、港岸、地下鉄などのインフラ整備を行う予定だったが、今年7月までの投資はわずか1873億元。いまだ6127億元も不足している。
氷山の一角
武漢市だけではない。貴州省貴陽市でも巨額の借金が重圧となり、先月は建設中だった高速道路が資金繰りに行き詰まり工事中止に追い込まれた。同様の事例は本土各地にあり、武漢市のケースは氷山の一角といわれる。審計署(日本の会計検査院に相当)の全国的な監査は現在も行われており、最新の数字が公布されるにはまだ時間を要するもよう。国際通貨基金(IMF)が先ごろ公布した見積りでは、中国の地方債は約20兆元とみられている。9月23日付け『星島日報』『鳳凰網(ifeng.com)』が伝えた。