李克強・首相が3月5日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で発表した政府活動報告では、香港について「高度な自治」などに触れなかったことが憶測を呼んでいる。2017年の行政長官の普通選挙に向けて議論が沸く中、香港に対する管理の強化を示したともみられている。これより先の2月25日、中央政府は9月に予定していた香港でのアジア太平洋経済協力(APEC)財務大臣会合の開催を取り消すと特区政府に通達した。普通選挙に向け香港中心部を大衆で占拠する「セントラル占拠行動」の発生を懸念したといえる。
香港開催が取り消されたAPEC財務大臣会合について、中央は他の関連会議との便宜を図るため北京で行うと説明。だが行政会議メンバーを務める香港工会連合会の鄭耀棠・名誉会長や香港中文大学の蔡子強・高級講師らは、セントラル占拠に関係あると指摘。タイの反政府デモのような局面をもたらす懸念から開催地を変更したとみている。
立法会の張華峰・議員(金融界選出)は、セントラル占拠によって香港取引所(HKEx)の取引開始が遅れれば1時間で100億ドル、1日で数百億ドルの損失になると指摘しているが、セントラルにオフィスを置く金融機関やデベロッパーの多くは、セントラル占拠が実行された場合に備えて臨時オフィスを設置するなどの対策を講じている。『明報』が香港大学民意研究計画に委託した世論調査(1月21~24日、対象1000人)では、セントラル占拠行動への支持は25%で前回調査(昨年10月)と同じだが、反対は57%で前回より2ポイント拡大。市民の懸念が高まっていることがうかがえる。(記事提供:『香港ポスト』2014年3月28日号)>>>more