7月28日、中国本土の審計署(日本の会計検査院に相当)は国務院の要求に基づき、全国に監査機関を組織し、中央政府と地方政府の債務について全面的な監査を行うと発表した。審計署は監査委員の訓練を行い、8月1日に各省都に配置する。ここ2年、投資資金の需要急増やシャドーバンキングからの資金提供もあり、多くの地方政府の債務は急増している。
会計監査署はこれまでにも2012年11月から2013年2月までに、36の省都を対象に2011年以降の債務の変化についてサンプリング調査を行っている。その結果、36の省都の債務は前年比12.94%増の3兆8475億8100万元。一部の省都で債務率や返済率が増加。2012年、9つの省都で返済義務のある債務率は100%を超え、最高は188.95%、政府に保障責任のある債務率を加えると最高219.57%に上った。
地方政府の債務返済は土地収入に過度に依存しているが、土地譲渡による収入は減少している。2012年に21の省都が譲渡した土地の収入は2010年と比べて2.83%減の135億800元となった。地方の債務は「融資平台※」がシャドーバンキングなどから資金を受け取り、インフラ工事に投資していた。また、資金集めのために発行した債券はハイリターンをうたった「理財商品(財テク商品)」に組み込まれ、個人投資家や企業が購入したとみられている。
スタンダードチャータード銀行(SCB)は最新リポートで、アジア経済において最も懸念されるのは本土の債務問題だとし、2012年末までの地方政府の融資平台での債務のうち、未償還は本土のGDP(経済成長率)総額の38%を占める19兆から20兆元に達すると指摘している。
地方政府の債務規模は当局にも実態がつかめていないのが実情のようで、今年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)で審計署の董大勝・副審計長は、2010年末の段階で中央政府の債務規模は7兆7000億元前後、地方政府の債務規模は10兆7100億元、浮動性を考慮すると各地方政府の債務総額は15兆から18兆元の間と見積もられると語っていた。7月29日付け『星島日報』などが伝えた。
※融資平台(融資プラットホーム)は地方政府が設立した投資会社の総称