中国証券監督管理委員会(中証監)と中国人民銀行、国家外匯管理局(外管局)は7月10日、QFII(適格海外機関投資家)の投資認可枠の上限をこれまでの800億米ドルから1500億米ドルに引き上げるとともに、RQFII(人民元適格海外機関投資家)のテストエリアにシンガポールと英ロンドンを加えると発表した。これにより、人民元の国際化へ向けた動きは今後さらに活発化するとみられている。
中証監は、QFIIの投資枠拡大でさらに多くの海外の機関投資家を長期的に中国本土市場に引き付けることができるとコメント。また、RQFIIについても現行の香港に加え台湾、さらにシンガポール、ロンドンが加わることで市場の活性化が高まるとし、「QFII 、RQFIIともに今後さらなる開放を進める」と語った。現在、QFII 、RQFIIのA株市場に占める株式保有時価総額の割合はわずか1.6%、海外投資家は市場の大きな潜在力になると期待されている。
中信銀行(国際)の廖群・首席エコノミストは、市場は米国のQE3(量的緩和策第3弾)の縮小後、新興国からの資金の引き上げを懸念している。QFIIはこの点からも「一挙両得」、人民元の国際化を促し、本土への資金流入が「金不足」のプレッシャーを減少させ、株式市場への「輸血」になるとコメント。「香港は人民元国際化の中継点。香港にだけ(資金を)留まらせるわけにはいかない」と強調した。
外管局の資料によると、QFIIの投資枠は昨年4月に300億米ドルから800億米ドルに引き上げられた。今年6月26日の段階で207社がQFII商品の販売認可を得ており、上限は434億6000万米ドル。RQFIIの投資認可枠も昨年末に700億人民元から2700億人民元に拡大。現在、30社がRQFII商品の販売認可を獲得し、批准限度額は1049億人民元。大部分は中国系金融機関の香港支店となっている。
また、台湾とシンガポールは今年に入って人民元決済銀行を開設。うち中国工商銀行のシンガポール支店では開店1カ月目で決算額は600億人民元を超えた。今後は香港を含む4エリアでの人民元オフショア市場の競争激化が予想される。7月12日、13日付け『星島日報』『香港経済日報』『香港電台(RTHK)』が伝えた。