台湾では1月25日に中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行台北支店の間で人民元業務決済協定が調印され、2月6日に人民元決済業務がスタートした。今後は同地でも人民元業務が本格化する見通しで、すでに1月29日に中国証券監督管理委員会の郭樹清・主席が証券市場を台湾に開放する政策を発表している。香港で先に実施されていた人民元開放政策が台湾にも適用されることとなり、人民元オフショア市場の拡大が加速するとみられている。
注目は、中国本土の証券市場への人民元建て投資を認める人民元適格海外機関投資家(RQFII)が台湾に開放されること。本土から海外への証券投資を認める適格国内機関投資家(QDII)の台湾への投資上限も5億米ドルから10億米ドルに拡大。さらに本土住民による海外への直接投資を認める適格国内個人投資家(QDII2)も検討するもよう。QDII2は香港でも検討段階であり、今後は人民元市場の競争激化が予想される。
台湾はアジアの金融センター香港と競争することになるが、香港金融管理局(HKMA)の陳徳霖(ノーマン・チャン)・総裁は香港の7000億元という世界最大のオフショア人民元流動資金の大きさは容易には超えられないと指摘。業界でも台湾は投資商品が少なくライバルにはならないとの見方もある。だが香港では地元住民に対する融資は認められておらず、台湾より不利な面を指摘する声もある。