香港では「双非孕婦」と呼ばれる夫婦ともに中国本土籍の妊婦の救急治療室や予約無しの出産が大幅に減少した。昨年、特区政府が施行した双非孕婦の出産を原則認めない「ゼロ割り当て(零配額)」制度が奏功したとみられている。
食物及衛生局の陳肇治・副局長によれば、2011年の後半には月平均150件だった双非孕婦の出産が先月はわずか22件となった。現在香港および広東省に居住する両親ともに本土籍の香港生まれの児童は約15万人に上り、2017年には18万7000人にまで増加する見込み。特区政府は小児科の需要が今後増加すると予測しており、一部の医療機関ではすでに小児科のキャパシティーやサービスを強化している。同局は偽装結婚やオーバーステイの問題なども含め引き続き状況を注視していくという(2月20日付け『星島日報』)。
香港では十数年前から本土籍妊婦の出産が社会問題となっている。両親が本土籍であっても香港で生まれた子供は香港籍を取得でき、香港の教育や福利を受けることができる。また、本土では一人っ子政策により2人目以降の子供の出産には罰金が課せられることもあり、香港で出産を希望する妊婦が急増。本土の斡旋業者などを通して臨月で入境し、陣痛が始まってから病院に駆け込み出産を行うケースが多い。病院側も人道上の理由から受け入れざるを得ず、近年は香港人妊婦が出産予約を取れないといった現象が起きていた。