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2013.06.02

経済学者:中国と袂を分てば経済は崩壊

 「仮に香港が中国本土の一切を排斥し、袂(たもと)を分てば、経済は崩壊し、不動産価格は90%暴落する」。香港科学技術大学経済学科の雷鼎鳴・主任はこのような見解を示し、香港の「本土派(郷土派)」と称する人々が極端な方向に走り本土の一切を排斥するようなことは避けるべきだとの見解を示した。
 本土派は今年の六四キャンドル集会で主催側の香港市民支援愛国民主運動連合会(支連会)が掲げた「愛国愛民、香港スピリット」というスローガンの「愛国」は「中国共産党を愛する」と解釈できるとして集会参加のボイコットを市民に呼び掛けていた。
 雷主任は「それぞれの異なる意見や考え方は尊重するが、経済に及ぼす影響は考慮しなければならない。香港と本土の経済はすでにかなりのレベルまで融合が進んでいる。双方とも同じ船に乗っているのだから、どちらか一方が船から離れることはできない」と語った。
 また、先きごろスイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した2013年世界競争力ランキングで、香港が昨年の1位から3位に転落したことについて、香港には根深い問題がある。貧富の差が激しくジニ係数(※)は高い。社会の流動性は低く、過去の不動産政策はすべて失敗し、特区政府が長い時間掛けて土地供給をコントロールしたために不動産価格は高騰。多くの市民はマイホームが持てない。加えて政府の対策は弱い。これらのことが香港の競争力をそいだ要因だと分析。香港は税率が低く、公務員の質も良い。競争力の上では有利な点が多く、地理的にも本土に近いため香港を通して本土市場に参入する外資系企業は多い。海外にいる優秀な学生や就業者を香港に戻す政策を進め、競争力を高めるべきだと指摘した。世界競争力ランキンの1位はアメリカ、2位はスイス、日本は24位だった。6月2日付け『星島日報』香港電台(RTHK)などが伝えた。
※ジニ係数は所得分配の不平等さを計る係数。高いほど所得格差が大きい

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