広東省で暮らす65歳以上の香港人高齢者に「生果金」と呼ばれる手当て金の支給を行う「広東計画」の申請受付が8月1日から始まり、2日間で130件の申し込みがあった。また、電話による問い合わせは2000件に上った。広東計画は10月1日から施行され、3万人の高齢者が恩恵を受ける。これによる特区政府の支出は4億香港ドルと見積もられている。
香港では65〜69歳で収入や資産審査の条件を満たした人と70歳以上の全員が、月々1135香港ドルの生果金を受け取れる。「生果」は広東語で果物のこと。生果金という呼び方には「果物を買うお小遣い」という意味があり、香港の発展に貢献した高齢者の労をねぎらう目的で支給されている。だが受け取りは香港に7年以上住み、申請日以前に最低1年間香港で生活していたなど、一定の条件を満たす必要があり、本土に移住した高齢者には支給されなかった。今回は初年度1年間だけの特別措置として、広東省に1年以上暮らす高齢者も申請対象に加えられた。
生果金の支給を行う労工及福利局は、高齢者が広東計画の手続きを行いやすいよう本土とのボーダーに近い新界区上水のMTR駅付近に社会保障事務所を開設。高齢者が並ばなくてもいいように予約形式で申請の受け付けを行っている。申請のため広東省の家から上水の事務所に車で数時間掛けて来たという80歳の元公務員は、日常生活が不便になったので家政婦を雇いたいが、月々生活費に充てられるお金は3000香港ドルしかなく足りなかった。今後、振り込みで受け取れる生果金は光熱費などの支払いに使いたいと語った。また、東莞市に5年近く暮らす68歳の男性は蓄えを取り崩す日々、「今は25元で2日分の食事をまかなっている。申請が通れば生活費の足しになる」と語った。
同局の張建宗・局長は、広東計画が順調に運べば、「特恵生果金」と呼ばれる月々2200香港ドルの高齢者特別手当を広東計画に加えることも検討するという。ただ、同計画を広東省以外の省・市まで広げる計画はないもよう。
現在、本土で生活する香港人高齢者は11万5000人、うち64%は広東省在住。高齢者の本土移住は十数年前に急増した。少しの蓄えでも物価の安い本土でなら比較的豊かな生活が送れると多くの退職者が移住したが、近年は本土のインフレや人民元の高騰で生活の見直しを迫られている人も多い。8月1日付け『太陽報』、香港電台(RTHK)、8月3日付け『星島日報』などが伝えた。