広東省衛生庁は8月9日、公式ホームページで同省恵州市でH7N9鳥インフルエンザに感染した疑いのある患者が見つかったと発表した。患者は市内の市場で家きん業に従事する51歳の女性。2度の検査でともに陽性反応が出ており、重体だという。ここ数カ月、H7N9鳥インフルは患者の減少が続いていたが、中国本土の江蘇省で人から人への感染が認められるケースが初めて見つかるなど、ウイルスの脅威はまだ収まっていない。香港の専門家は、本土にはパンデミック(爆発的流行)のリスクがあり、H7N9の感染が確認される地域からの生きたニワトリの輸入を停止するよう特区政府に呼び掛けている。
8月10日付け『香港経済日報』によると、広東省では今年5月に東莞市の生きたニワトリからH7N9鳥インフルのウイルスが検出されているが、人への感染が確認されたのはこれが初めて。恵州市の女性が働いていた市場のニワトリはすべて殺処分となり、10日は休業して全面的な消毒が行われた。職場の同僚や家族など女性と密接な接触を持った80人は現在医学的な監察下におかれている。中国国家質検総局の資料によれば、恵州市には全部で8カ所の養鶏場があり、香港はうち3カ所の養鶏場から今年1~7月までに計19万匹の生きたニワトリを輸入している。
広東省からの知らせを受けた香港の高永文・食物局局長は各部門のメンバーを招集して会議を開き、今週日曜日に北京に赴き状況を確認するもよう。香港衛生防護センターの梁挺雄・総監は、香港と広東省は1日数十万人が往来している。いつ香港にウイルスが持ち込まれてもおかしくない、との見解を示した。住宅が密集する香港では1997年にH5N1鳥インフルエンザ、2003年にはSARS (重症急性呼吸器症候群)が大流行し、多数の犠牲者が出ている。