香港の二大スーパーチェーン、百佳超級市場(パークン・ショップ)の売却に関して、8月17日付け『星島日報』は、パークンの親会社に当たる和記黄埔(ハチソン・ワンポア)が16日、8社から買収の意向書を受け取ったと報じた。現在、パークンを運営するハチソン傘下の屈巨氏集団(ワトソンズ・グループ)が意向書の分析と評価を行なっている。
ハチソン側は、反応に大変満足しているが、今回の評価結果が必ずしも売却先の決定に結び付くわけではないとしており、売却のタイムスケジュールも未定となっている。パークンの売却価格は40億米ドルと見積もられている。
買収に名乗りを上げた8社のうち7社は米国のWalMart、大手買収ファンドのKKR、中国系の華潤創業(China Resources Enterprise)、高鑫零售(Sun Art Retail Group)、利福国際(Lifestyle International Holdings)、オーストラリア系のWoolworts、Wesfarmersだという。
パークンの売却については、6月に香港メディアが「計画がある」と報じたが、ワトソンズ・グループは「パークンの資産評価を行っている」とだけコメントし、ハチソンの最大株主である長江実業の李嘉誠・会長も明確な回答は避けていた。だが6月末にパークンは「PARKnSHOP」という社名で香港に2つの会社を登記しており、うち1社はパークンの業務を運営。現在スタッフの雇用契約がこの新会社に移行していることや、資産評価を行うこと自体が売却を示唆するため、可能性は極めて高いとみられていた。さらに7月31日付け『財華網』は、李会長の息子でPCCW会長の李沢楷(リチャード・リー)氏のコメントとして、父はパークン売却はビジネスを考慮したことであり、ワンポアはヨーロッパにもっと大きな取り引きを持っていると自分に語った、と報じている。
現在、香港でのパークンの市場の占有率は33%で恵康超市(ウェルカム・ストア)に次ぐ2位。店舗数は香港284店舗、広東省56店舗、その他中国本土の地域が約60店舗と香港に集中し、本土では広東省に出店が偏っている。2010年には赤字だった上海市の全ての店舗を閉鎖しており、人口が頭打ちの香港をメーンにした事業展開ではこれ以上の発展は望めないと語る専門家もいる。利益率も高くない。2012年の売り上げは217億香港ドルだが粗利はわずか2〜3%、ワンポア全体の利益に占める割合は5%だった。
一方、ワンポアは2009年のリーマンショック以降、数十億米ドルをかけてヨーロッパのインフラ、通信関連の企業買収を行ってきた。今年上半期のヨーロッパにおけるワンポアの利益は2010年の19%から34%に伸び、中でも3G業務で快進撃を続けている。その反面、香港は同25%から16%に落ちており、 李会長は事業の中心を香港からヨーロッパに移すのではないかといわれている。