香港の観光客ら8人が死亡した4年前のバス乗っ取り事件で、特区政府はフィリピン政府の謝罪を促す目的で外交官や政府関係者に対するビザ無し渡航停止の制裁措置を取った。これに対し、フィリピン政府は失望を表明している。
銃撃戦で犠牲者
事件は2010年、解雇された元警察官がマニラで香港からのツアー客が乗った康泰旅行社のバスを乗っ取り、警察との銃撃戦の末、ガイドを含む8人の香港人が死亡した。
特区政府の支援を受けた事件の被害者や犠牲者の遺族は、フィリピン政府の対応に問題があったとして正式な謝罪と保障、責任者の処罰などを求めているが、フィリピン政府は正式な謝罪要求に答えていない。
制裁はフィリピンの外交官、公務員に許されていた香港への14日間のビザ無し渡航を停止するもので、約700〜800人が対象となる。一般の観光客には影響しない。フィリピン人旅行者は毎年70万人が香港を訪れる。梁振英・行政長官は今後、制裁強化の可能性もあるが、その前にフィリピン側と合意できることを願うとしており、対話は続けて行く意向だ。
行政長官は昨年11月、このまま事態に進展がなければ制裁措置を取るとフィリピン政府に警告。フィリピン政府はこれまで、事件であごに重症を負った香港人女性に金額が非公開の見舞金を支払っただけで、両者の間には依然大きな隔たりがある。
特区政府が他国に対して制裁措置を取るのはこれが初めて。中央政府も香港を支持している。中国とフィリピン政府は南沙諸島の領有権をめぐり関係が冷え込んでいる。1月30日、31日付け香港各紙が伝えた。