香港人の海外移住が増加している。理由の多くは子供の教育のためだが、あふれる中国本土からの観光客に「香港はもう自分の家じゃない」と語る人もおり、深まる中港のあつれきも原因の1つとみられている。
香港保安局の最新データによると、今年上半期の海外移者は前年同期比8.3%増の3900人だった。移住先で最も多いのはオーストラリアで同22.2%増の1100人、次いでカナダの600人、米国は減少した。うち、カナダ移住者は前年比2倍の増加となった。主な申請者は40〜50歳の退職を控えた人や進学する子供を持つ人だが、若い家族の海外移住も増えている。
移住のため上場企業を辞職したばかりの30代の香港人女性、陳さんは、この2〜3年で30〜40歳の同僚たちが会社を辞め海外移住するのを見て来たが、理由のほとんどは香港の教育制度が信じられないというものだった。会社の上層部との食事会では子供の海外留学の話がほぼ必ず話題に上るという。
陳さんは香港で生まれ育ち、かつてカナダで暮らし、後に香港に戻り投資銀行に勤務する夫と結婚したが、年収100万香港ドルの仕事を投げ打って家族とともに再びカナダに移住する決断をした。「香港ではお金がないといい教育を受けさせられない。教育制度はめちゃくちゃで、その上、双非児童(両親ともに本土籍の子供)と学校の入学枠を取り合わないといけない。政治家はみんな自分の子供を英国などに留学させている」と語った。
また香港と本土の融合が進んでいることも原因の1つに挙げ、「本土観光客が来るようになってから小さな店はすべて貴金属店か化粧品店に姿を変えた。香港はもう自分の家じゃない。本土に同化されて、マンションの近所でウィンドーショッピングをしようにも(本土客が多過ぎて)できない」と語った。陳さんの両親は文化大革命時に本土から香港に逃れて来たが、両親も去年、梁振英・現行政長官と唐永年氏が行政長官選挙に立候補したことに不安を感じ、陳さんに移住を勧めていたという。8月12日付け『香港経済日報』が報じた。