長江実業グループの李嘉誠・会長は9月17日、香港メディアに対し、香港に政策のリスクがあることは否定できないが、「百佳超級市場(パークン・ショップ)」の売却は商業行為の一つであり、自身が会長を務める間は香港撤退はありえないと語った。
李氏は「香港も国家も愛している。長江実業と和記黄埔(ハチソン・ワンポア)を香港から移すことはない。グループは数年後も香港にいるだろう」「ただ、ビジネスの規模は香港や世界の政治と経済の状況によって決める。(グループは)株主の利益に絶対的な責任を追っているのだから」と述べ、「もしも私が長江グループの本社ビルを売却したら、そのときは気を付けなさい」と笑いながら付け加えた。
長江実業グループはパークン・ショップの売却に続き中国本土の不動産の売却を進めており、香港、本土メディアはともに李氏の香港撤退説を報じていた。中でも8月に本土の経済誌は、李氏が欧州市場に軸足を移しているのは香港の政治の図式が今後変わることを予見したからだ、といった記事を掲載。香港商人はしょせん民間の企業家であり、最も利益の出る独占市場はこれからは中国系企業の手に渡るであろう。これは1つの時代の終えんだと論じた。これについて李氏はコメントを避けている。
セントラル占拠に反対
李氏はまた、上海自由貿易区が香港に与える影響は大きく、特区政府が何も手を打たなければ香港は落ちこぼれる。政府の不動産抑制策の弊害も来年には表れるだろうと語るとともに、「セントラル占拠」に反対の立場を示した。李氏は、(グループは)民主主義国家に最大の投資を行う。セントラル占拠はセントラルを麻痺させ、経済にマイナス影響を与え、国際金融センターとしての香港のイメージを損なう。社会の過激化は問題解決の助けにはならない、との見解を示した。
今後の世界経済については、仮に米国の量的緩和第3弾(QE3)が縮小しても大幅な金利の引き上げはないとみているが、縮小時には米国は「自国のことしか考えず、他国のことはお構いなしだろう」と予測。世界経済には不透明感があることから、もともと長江グループとハチソン・ワンポアの負債は少ないが、さらに積極的に債務を減らす努力をしていくと語った。9月17日、18日付け『太陽報』『星島日報』などが伝えた。