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2013.07.14

発展局:立ち退き白紙にできない、市民「リトル深圳」懸念

 香港で昨年から物議を醸している新界東北部のニュータウン開発計画について、発展局の陳茂波・局長はブログで、住民の立ち退きを完全に白紙に戻すことはできないと記した。陳局長は、例えば東北部の古洞村や粉嶺の馬屎埔村は位置的にも今後の香港の発展に必要なエリア。特区政府は住民の引っ越しに協力し、条件に適う住民には最高60万香港ドルの補償を行うか、公共住宅への入居を手配すると強調した。
 そんな中、7月14日に反対派と住民は新界の粉嶺にある香港ゴルフクラブの建物前で特区政府に対しニュータウン開発計画の撤回と、同クラブに対しゴルフ場の維持を政府に促すよう協力を求めた。新界東北部のニュータウン開発計画に同ゴルフ場は盛り込まれていない。
 ニュータウン開発計画は、新界東北部に人口15万人の街を開発するというもので、1998年から構想され2007年には10大インフラ計画の一つに加えられた。だが、深圳市民がビザなし滞在できる街をつくるといった計画が浮上したため、中国本土との融合に反発する政治問題に発展。深圳市との融合を加速させると疑う市民、農地を維持したい住民、計画実現による補償に期待する旧来からの住民、 土地を取得しているデベロッパー、香港自治運動グループや民主派議員らの思惑が入り乱れ、衝突を激化させている。
 この構想は、シンクタンクの一国両制研究中心が10年8月に発表したボーダー立ち入り制限地域の開発に関するリポートに記されている。広東省深圳市との境界の税関・出入境管理所に近い場所を総合開発区にするというもので、本土住民に7日間の簡易ビザを発給して最長で7日間滞在できるようにし、本土住民を顧客対象に教育、医療、小売業などを振興する構想。だが、昨年8月に改めて報じられた際、「簡易ビザ」が「ビザなし」と書かれ、新界東北部の開発地域も含まれるなどの誤解が生じた。一国両制研究中心は梁振英・行政長官が創設に携わったため「梁長官による香港割譲」などと報じられた。本土の富裕層による不動産購入で住宅相場や物価の上昇をもたらし、ニュータウンはリトル深圳化するとの懸念から、多くの市民から計画撤回を求める声が上がっている。7月14日付け『星島日報』、now.comなどが伝えた。
 


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