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2015.04.17

夏に再び大規模デモ懸念 政治改革案可決なら破壊行動も

 香港を揺るがせた普通選挙の導入のあり方をめぐる学生を中心とした大規模デモ「セントラル占拠(雨傘革命)」が今年の夏、再燃する懸念が高まっている。6月か7月に香港政府は普通選挙に向けた政治改革案を採択する見通しだが、学生の反発を招くのは必至とみられている。民主派議員に足並みの乱れが生じていることも学生をいらだたせる要因となっており、香港専上学生連会(学連)の羅冠聡・秘書長は政治改革案が可決されれば立法会議事堂を占拠し破壊活動を行うと過激な発言をしている。

 夏に再び大規模デモが起こる可能性は3月中旬に立法会の曽鈺成・議長が指摘しており、改革案が採択される6、7月は学生の夏休みが重なることや、政府本庁舎周辺ではいまだ小規模な占拠行動が続いていることなどから、大規模デモが発生する可能性は十分にあると警戒。中国本土との貿易協定に反対した台湾の学生運動のように立法会議事堂が包囲される恐れもあると語っている。(3月12日付『信報』『東方日報』)

 4月14日には学連の羅秘書長が無線電視(TVB)の英語番組で「人を傷つけなければ暴力には当たらない」と指摘。立法会を占拠し、ガラスを破り、議事堂内の公共物を破壊する可能性を示唆した。羅秘書長は普通選挙を実現するため政府支持に回ろうとしている民主派議員に対しても、「民主派は世論調査に従って投票すべきではなく、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の決定に基づく改革案の否決を堅持しなければならない」と述べたほか、立法会で改革案が可決されれば「民主派が民主の原則に背いたとみなしセントラル占拠行動より大きな反発が起こる」と警告している。(4月15日付『信報』)

 昨年夏の全人代の決定直後、公民党の湯家驊・氏と無所属の黄毓民氏を除く民主派議員25人は、いかなる政治改革案も否決するとの声明を発表していたが、3月9日に立法会で民主派議員27人全員が再び同様の声明を発表した。社会民主連線の梁国雄・主席が「寝返る民主派議員がいれば、いい死に方はしない」と語っていたことからも、声明は普通選挙を実現するため政府支持に回ろうとしている民主派議員に結束を求める意味合いが強いとみられている。中央との対話を模索していた公民党の湯氏は、全人代常務委の李飛・副秘書長と一部民主派議員との香港での会談を4月に行うよう進めていたが、3月10日の香港電台(RTHK)ニュースによると、この声明により李副秘書長は来港を取り消したという。

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