香港では各銀行で人民元定期預金の利率を引き上げる動きが以前にも増して活発化している。そんな中、過去一年にわたって人民元預金の顧客獲得に積極的な態度をみせなかったHSBC(香港上海銀行)が4月7日、翌日から人民元定期預金の利率を3.8%に引き上げると発表した。
1カ月で63.3元の利息
4月8日付け『蘋果日報(アップル・デイリー)』『東方日報』によれば、HSBCが打ち出した利率は人民元の1カ月定期で3.8%と香港史上最高。預金額は2万人民元から。新たな預金が対象となり、HSBCの人民元口座にすでに預金されている資金は対象外となる。2万人民元を1カ月定期預金にした場合、1カ月後に63.3元の利息が得られる。
機を同じくして、中信銀行(国際)と星展銀行(DBS)も4月8日に人民元定期預金の利率を引き上げた。中信銀行は3カ月定期で3.15%の利率を打ち出した。これは先週の同行の預金利率より5ポイントも高いが、最低預金額が50万元となっている。DBSも利息を3%に上げたが、顧客はまず香港ドルを10万人民元以上に換金した上で預金を行わなければならず、期間も6カ月と他行に比べて長い。
今回、香港最大の銀行であるHSBCが思い切った引き上げを行ったことで、他行はさらなる戦略を迫られており、人民元定期預金の顧客獲得に向けた利率の引き上げ競争が激化するとみられている。
人民元短期定期預金の利息
銀行 | 期間(月) | 最低預金額 | 利率 |
---|---|---|---|
HSBC | 1 | 2万 | 3.80 |
シティ | 3 | 2万 | 3.50 |
信銀 | 3 | 50万 | 3.15 |
SCB | 3 | 2万 | 2.2 |
永隆 | 1 | 10万 | 2.05 |
中銀 | 1 | 2万 | 1.80 |
大新 | 1 | 2万 | 1.20 |
※通貨:人民元
SCBはスタンダードチャータード銀行
資料:『蘋果日報(アップル・デイリー)』