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2014.10.06

上海―香港で証取相互乗り入れ 人民元需要高まる

 李克強・首相が4月に発表した上海と香港の証券取引所の相互乗り入れがいよいよ10月から始まる。かつて棚上げされた「香港株直通車」が実現し、3000億ドル余りの資金が香港株市場に流入することに金融界では期待が高まっている。中国の資本市場開放の一環である同措置は香港にとっても資本市場や人民元業務の拡大を促進し、国際金融センターとしての地位強化につながる。

 相互乗り入れは上海証取が窓口となって中国本土住民が香港株を直接取引でき、域外投資家は香港証券取引所(HKEx)を通じてA株に投資できるというもの。本土から香港への投資では、個人投資家の資格は証券取引口座の残高が50万元以上。投資上限は2500億元(約3125億ドル)、1日の上限は105億元(約131億ドル)。投資範囲はハンセン総合大型株指数とハンセン総合中型株指数の構成銘柄、上海・香港同時上場のH株となる。香港から本土への投資では個人投資家の資格制限はなく、投資上限は3000億元(約3750億ドル)、1日の上限は130億元(約163億ドル)、上証180指数と上証380指数の銘柄、上海・香港同時上場のA株となる。香港市場では266銘柄が対象となり、時価総額の約95%を占める。

 HKEx、香港中央結算、上海証券取引所、中国証券登記結算は9月4日、上海市で4者協定に調印。相互乗り入れの法的根拠となる協定には規則や投資可能な株式などが盛り込まれ、基本的に4月に両証取が合同発表した公告の内容と同じ。両証取と参加企業は8月30~31日にシミュレーション取引、9月13~14日にシステム故障を想定したシミュレーションを実施。順調に準備を整え10月中にスタートする見込みだ。

 2007年に香港株直通車が話題になった際にはハンセン指数が8月の19386ポイントから10月末には31958ポイントまで跳ね上がり、当時の温家宝・首相による11月の発言で無期延期となった。今回も過熱が気になる中、香港金融管理局(HKMA)の陳徳霖・総裁は8月12日、7月からの大量の資金流入が相互乗り入れに関連することを認めた。資金流入による香港ドル需要の増大からHKMAは1年半ぶりに20回以上にわたって市場介入を行った。

 陳総裁は7月からの資金流入が2段階に分けられると分析。中旬までは主に企業活動に関連したものだが、22日以降は香港株の売買高が従来の400億~500億ドルから700億ドル余りに拡大したため、株投資に関連した資金流入とみている。特区政府財経事務及庫務局の陳家強・局長も「香港株直通車」が取りやめになった二の舞とならぬよう資金流入状況に留意していると述べた。(2014年10月3日『香港ポスト』

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