MTR(香港鉄路有限公司)は羅湖駅に4階建てのビルを建設し大規模な「免税城(免税モール)」をオープンさせる計画だ。免税モールには免税店と倉庫を設けるほか、駅構内も改装する。香港では中国本土からの観光客が急増したことで市民生活に影響が出ており、一部市民が排他的な抗議行動を起こすなど社会問題化している。
羅湖駅の免税モール建設は、購買意欲が旺盛な本土客への便宜を図るとともに、これまで市街地に集中していた本土客を分散させる狙いもある。MTRは建築の顧問契約の入札を5月に行う予定で、工事の開始から竣工までに4年掛かるとみている。
利用者はのべ1億人以上
MTRの羅湖駅と落馬州駅の出入境者数は近年上昇を続け、2008年ののべ9万人から2013年にはのべ1億1000万人と20%増加した。旅客の増加で構内のテナント料も上昇しており、これと同時に広告などの利潤も急増している。MTRは去年1月の契約延長時に羅湖駅と紅磡(ホンハム)駅のテナント料を大幅に値上げしており、現在のテナント収入のほとんどはこの2駅の免税店によるものだという。
現在、羅湖駅には出境ゲートを出た羅湖橋の前に免税店があるだけで、この店ではタバコ、酒、食品のほか基礎化粧品を少し扱っている。店内は狭く、レジは常に長蛇の列だ。
香港の小売業界と立法会議員は免税モールの建設でこれまで本土観光客が集中していた旺角、チムサーチョイ、コーズウェイベイといったショッピングエリアの負担軽減に効果があると期待を寄せた。
一方、旅行業界は免税モールの建設は支持するが、本土観光客は買い物だけでなく観光地に行くので分散効果は期待するほどではないとみており、仮に免税モールで扱う商品が大規模チェーンでも買える日用品をメーンにするなら、並行輸入業者を喜ばせるだけだとコメントした。3月11日付け『太陽報』が伝えた。