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2014.12.14

デモ参加者に身分証の登録要求 銅鑼湾も排除間近 

最後の占拠区となった銅鑼湾(コーズウェイベイ)。セントラル占拠のシンボル、雨傘の折り紙が夜風に揺れる

最後の占拠区となった銅鑼湾(コーズウェイベイ)。セントラル占拠のシンボル、雨傘の折り紙が夜風に揺れる

「セントラル占拠」の最大拠点、香港島の金鐘(アドミラルティー)で12月11日、大規模なデモ隊の強制排除が行われ、香港警察は撤退を拒否した209人を逮捕。撤退する参加者にも身分証の登録を要求した。12月15日には最後に残った銅鑼湾(コーズウェイベイ)の占拠区でバリケードなどの撤去作業が行われる予定で、これによりすべての占拠区の強制排除が終了する。

 金鐘の撤去作業は事前に予告されており、警察は同日の午前11時以降、市民の占拠区への出入りを禁じると発表していた。だが11時以降も依然として多くの学生や市民が留まっており、警察は占拠区内に19カ所の臨時の身分登録所を設け、残った参加者全員に身分証を提示させ個人情報を記録した。登録を拒否してその場を離れることは認められず、すべての登録所に長蛇の列ができた。一部デモ参加者はその後、立法会前にテントなどを持ち込み引き続き座り込みを行っている。
 警察がデモ参加者に身分証の登録をさせたのは今後の行動を把握しやすくするためとみられており、強制排除後も旺角(モンコック)で道路を塞ぐ行為を繰り返している市民にも身分証の登録を求めている。

 金鐘の逮捕者にはセントラル占拠の黒幕といわれる香港メディア王の黎智英(ジミー・ライ)氏、民主党創設者の李柱銘(マーチン・リー)氏、工党主席の李卓人・氏、立法会議員で民主党主席の劉慧卿(エミリー・ラウ)氏、何俊仁(アルバート・ホー)氏、人民力量の陳志全(レイモンド・チェン)氏、歌手の何韻詩(デニス・ホー)氏など立法会議院や著名人もいた。「長毛(ロングヘアー)」の異名を取る民主派議員の梁国雄・氏と香港専上学生聯会(学聯)の周永康・氏も逮捕された。同日の逮捕者は全員、翌日に釈放されている。
 黎智英氏はかつて衣料チェーン「ジョルダーノ」を創設し、現在は『蘋果日報(アップル・デイリー)』『壱週間(ネクスト・マガジン)』などを発行する「壱媒体(ネクスト・メディア)」のCEO(最高経営責任者)を務める。ネクスト・メディアは中央政府に反発的な記事を掲載することで知られている。黎氏は逮捕とほぼ同時にCEOを辞任した。

 最後に残った銅鑼湾の占拠区はヘネシーロード上のショッピングエリアにある。香港警察はまず警官隊を休ませ、15日の月曜日朝9時30分から1000人の警官を動員して行うとしている。このエリアは第三者による道路の訴えは起きておらず、裁判所の命令に基づく強制排除ではないもよう。占拠区の規模は小さくデモ隊の人数も少ないため、警察は午前中に完了するとみており、占拠により通行が寸断されている路面電車のトラムは作業完了後、1時間で復旧する見通しだ。

 ただ、銅鑼湾でも旺角同様に「ショッピングに来た」「靴ひもがほどけた」などと言って道路を塞ぐ行為を繰り返す集団が現れている。学生グループは当面の目標として2度目の政府対話を求める構えだが、非暴力による平和的なデモでは回答は引き出せないと考える傾向が強くなっており、セントラル占拠の発起人の1人、載耀廷・氏も先きごろ出演したラジオ番組で、今後暴動が起きる可能性を指摘している。クリスマスや大みそかといった街に人が増える時期に合わせ、デモ隊が今度は別のかたちで抗議行動を行うとの情報もあり、収束の兆しは見えていない。12月12日、13日付け香港各紙が伝えた。

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