建設が予定されている仏山—珠海間の「仏珠高速道路」が、現在建設中の香港、珠海市、マカオを結ぶ橋りょう「港珠澳大橋」(※1)と接続する可能性が出てきた。同プロジェクトを運営する仏山市路橋公司が7月30日に公布したリポートで明らかになった。大珠江デルタ一体化へ向けたさらなる動きとして注目される。
仏珠高速は「仏山一環高速道路」の一部を借り、現在計画中の深圳—中山間を橋りょうで結ぶ「深中通道」(※2)とも接続される見通し。すべて開通すれば珠海市から清遠市までの車での所要時間は現在の3〜4時間から2時間、珠海市から江門、中山、仏山、広州の各市までは1時間と大幅に短縮される。
7月31日付け『広州日報ネット版』によれば、仏山一環高速道路の一部は将来的に仏珠高速道路の仏山北段道となる予定で、ここから南北に道が延び前述の6市をつなぐ一本の高速道路が形成される。さらに港珠澳大橋との接続が実現すれば、広東省の各市から香港、マカオへの交通が格段に便利になる。ただ、仏珠高速道路が完成すれば仏山一環は現在のように高速道路料金が無料(※3)というわけにはいかず、徴収される可能性が高い。
また、仏山市路橋公司は同日、広州—仏山間の「広仏高速道路」の立体交差点の改造工事の環境への影響に関するリポートも公布した。同工事は2013年10月末着工、2015年9月末開通となり、広仏高速道路と「仏山一環東線」が結ばれる予定だという。
※1 港珠澳大橋
香港、珠海市、マカオを結ぶ橋りょう。構想から26年。広東省と香港の一体化の象徴ともいえる大型越境インフラ。2009年12月15日に正式着工した。全長約61.5キロメートル、うち主橋は35.6キロメートル、中央部分は大型船舶の航路を確保するため6.7キロメートルの海底トンネルとなる。海上橋としては世界最長。総工費は約730億元、2015年の完成を目指している。開通すれば珠海から香港まで車での所要時間は現在の3時間半から30分に短縮する。
※2 深中通道(深中大橋)
深圳市と中山市を珠江をまたいで結ぶ高速道路と鉄道の両用橋りょう。全長約12キロメートル。2015年末に着工、2021年完成予定。現在、両地の往来は虎門大橋を通る迂回ルートの使用が一般的だが、深中通道が完成すれば車での所用時間はわずか30分となる。
※3 仏山一環高速道路
2006年11月18日に開通。2008年に広東省交通庁により省クラスの高速道路となった。高速道路料金は徴収しておらず、中国本土で最も長い無料高速道路といわれている。