中国全土で審計署(日本の会計検査院に相当)による債務監査が行われる中、広東省は今年、ここ数年で最も多い121億元の地方債を発行すると発表した。主に交通インフラの建設工事に充てられるもよう。これにより、この4年間で同省(深圳市を除く)が発行した地方債は430億元となった。広東省財政庁科学研究所の黎旭東・所長は、公開発行する債券は広東省の地方債の一部に過ぎず、まだ融資平台(地方政府が設立した投資会社)の隠れた債務があるとみている。
地方債務は実態がつかめておらず、審計署が唯一公開した数字によると、2010年末の広東省の地方政府の債務は7500億元(郷鎮の債務は含まず)。3年間、債務は減るよりむしろ増え続けており、政府がここ3年で公開した債務見積りでは広東省の債務は8000億元に上っている。また、広東省は1998年以降、大規模な国家開発投資会社5社が破産し、最近それがやっと完済されている。黎所長は「広東省はこれを教訓にしているので、債務管理は慎重にやっている」と述べている。
専門家の多くは、江蘇、山東、浙江などの各省に比べれば広東省には債務の返済能力があるとみているが、2010年の広州アジア競技大会と2011年の深圳ユニバーシアードの費用約5000億元が負担になり、本来は経済力のある広東省が土地譲渡で収入を得なければならない状況に追い込まれていると分析している。
また、郷鎮の債務が不透明なことも大きな懸念材料となっている。広東省省情研究センターの調査では、同省の20の郷鎮のうち、鎮政府の債務総額は10億元を超え、中でも最も債務が多かった鎮は2億5949万元、最も少ない鎮でも486万元となり、平均して1つの鎮当たり5430万元の借金を抱えていた。調査リポートは「郷鎮の債務はこんなにも巨額で、すでに返済能力を超えている」と記している。
かつて広東省の郷鎮の負債問題を専門に調査・研究した広東省社会科学員珠江デルタ経済研究センターの成建三・主任は、広東省の郷鎮の負債問題は非常に深刻で、雲浮市のある郷鎮は飲まず食わずで400年掛けてやっと完済する計算になると語っている。8月4日付け鳳凰網(i.feng.com)が本土紙『華夏時報』の報道として伝えた。