近年、業績が振るわずワーカーの削減を行っている台湾の電子機器受託生産(EMS)企業「富士康科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ)」が、今度は返品により多額の損失を被ったとのうわさが流れている。
4月21日付け『明報』が中国本土のメディア『中国経営報』の報道として伝えたところによると、3月15日、富士康は米国のアップル社から500万部の iPhoneを返品された。原因は製品の外観が規準に達していなかったか、性能不良とみられる。同社ワーカーの話では、返品はこれで計800万部、損失額は10億元に上るという。富士康は2010年8月にも品質が基準に達しなかったとしてアップル社に8億元の賠償金を支払っている。
ある事情通は大量返品の原因として、アップル製品は世界的に人気があることから、その加工生産を一手に引き受ける富士康では工場の拡充を急ぎ過ぎ、管理が追い付いていないことや、全品検査ではなく抜き取り検査であることなどを挙げている。また、2010年6月まで富士康ではQC(品質コントロール)部門が絶大な権力を握っていたが、相次ぐワーカーの自殺で世論の圧力が増し、現在は以前ほど厳格な管理が行えないことも関係しているといわれている。