2月9日、中国中央電視台(CCTV)が広東省東莞市の風俗産業を暴露した番組を放送した後、広東省政府は6000人の公安職員を動員した東莞史上最大規模の風俗ローラー作戦を実施。複数の地元政府高官を停職処分にした。これは、地元政府が風俗産業を黙認していたとのCCTVの指摘を受けたものだ。
CCTVの放送は視聴者に衝撃を与える内容であり、インターネット上ではCCTVは社会的弱者をさらし者にしているといった疑問も上がっている。今回の風俗摘発は、年間百億人民元余りの収益を上げていた東莞市の娯楽産業にとって痛手になるとみられている。
ストリップショーでチョイス
同日、CCTVは朝のニュース番組『新聞直播間』の20分間のコーナーで東莞市の複数の高級ホテルやサウナ、カラオケスナックなどで風俗嬢による性的サービスが日常的に行われていたと報じた。
5つ星の「東莞プリンス・ホテル(東莞王子酒店)」のサウナでは、風俗嬢によるストリップダンスショーが行われ、客はこのショーで気に入った風俗嬢を選び、ホテルの部屋などで性交渉に及んでいた。
CCTVは番組の中で、市内の「シェラトン・ホテル(喜来登酒店)」「源豊酒店」「東臻酒店」などの高級ホテルの中でも類似の買春あっ旋が行われていた実態を放送。このような違法行為を地元政府は黙認しており、記者が潜伏取材中に何度公安に通報しても、公安職員が駆け付けることは一度もなかったという。
上層部が素早い対応
放送後、事態を重視した広東省の上層部は即座に緊急会議を開き、トップの胡春華・広東省党委員会書記は関係機関に対し、プロジェクトチームを組んで徹底的な風俗一掃を行うよう通達した。
公安局の動きは早く、放送が行われた日の午後3時から6000人の公安職員を動員して2回にわたる大規模なローラー作戦を実施。翌10日の午後6時前までに、市内全域のホテル、サウナ、足マッサージや娯楽施設など計1948カ所を捜査し、性風俗にかかわった容疑で162人を連行した。
また、東莞市中堂公安分局局長や摘発を受けたホテルに近い派出所の所長などを停職処分にした。広東省公安庁は今後さらに3カ月かけて省内全域の風俗、カジノ、ドラッグの大規模な摘発行動を展開する計画だ。
今回はCCTVの放送が省の上層部を動かしたかたちとなったが、一部ネットユーザーからは風俗産業の暴露だけが目的なら、CCTVのような巨大メディアがなぜ風俗嬢という社会的弱者のストリップダンスをあのように放送する必要があったのかといった疑問の声も上がっている。
モグラたたきと同じ
東莞市の娯楽および娯楽関連産業の年間経済収益は最も多い年で500億人民元に達するといわれており、同市の経済成長率(GDP)の14%前後を占める。地域経済と密接に結びついた風俗産業を根絶やしにすることは難しく、東莞市ではここ2年、大規模な摘発が何度か行われたが、ほとぼりが冷めるとまた元に戻るというモグラたたきのような状況が繰り返されている。
香港紙『文匯報』の記者が覆面潜入し、摘発を免れた市内ホテルのカラオケスナックのスタッフに話を聞いたところ、「ここ数日は捜査が厳しいので風俗嬢は呼べない。普段なら1000元でサービスしているが今はダメだ」「酒とカラオケに付き合うだけで値段は女性1人500元」と語った。
だが、摘発後も依然として風俗嬢のあっ旋は行われているもようで、別の関係者は「ショーはないけど、5、6人の風俗嬢は呼べる。好きなのを選んで部屋に連れて行ける。値段は以前より高いし、部屋代も客持ちだけどな」と語ったという。2月11日付け『文匯報』『香港経済日報』『星島日報』などが伝えた。