米アップル社のiPhonやiPadなどの生産を一手に引き受ける台湾系企業「富士康科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ)」で再度ワーカーの飛び降り自殺が発生した。自殺したのは湖南省出身の18歳の男性。深圳工場に就職したばかりだった。
12月23日付『星島日報』によると、男性は12月10日、工場に出勤せず市内のホテル4階に部屋を取り、午後5時ごろ部屋の窓から飛び降りた。だが、下にあった看板広告に当たり未遂に終わったため、1階の窓から這ってホテルに入り5階から再度飛び降りた。男性はすぐに救急車で病院に運ばれたがその後、死亡した。同社に就職してわずか40日の出来事だった。
男性は自殺の前日、家族に電話して「富士康で働きたくない」と言っていたが、理由は語らなかったという。家族は富士康に60万人民元の補償金を要求。一方、富士康は人道的援助は行うが、責任の所在については警察の結論を待つとしている。
台湾では鴻海科技集団と呼ばれる富士康は中国本土に三〇数万人のワーカーを抱える世界最大の電子機器受託生産(EMS)企業。中核会社の鴻海精密工業はシャープとの資本提携計画があり、会長の郭台銘・氏は台湾トップの富豪として知られる。だが、同社では数年前からワーカーの飛び降り自殺が相次いでおり、過酷な労働条件によるものではとのうわさが広がり社会問題になっていた。