広東省深圳市の社会福祉センターは「棄嬰島(嬰児安全島)」と呼ばれる中国版「赤ちゃんポスト」を来年開設する計画だ。現在、広東省民政庁の批准待ちで、実現すれば広東省初の赤ちゃんポストとなる。中国本土では乳幼児の遺棄事件が頻発しており、すでに赤ちゃんポストを設置している地域もある。社会福祉センターの唐栄生・主任は、深圳市の赤ちゃんポストを罪のない子供のシェルターにしたいと述べている。
「捨て子容認」に反論
計画では、赤ちゃんポストは社会福祉センターのドアの外に設置される。総面積10平方メートル。内部にはベビーベット、保育器が置かれ、外部からの侵入者に対して作動する赤外線探知機などを設置。夜でも「赤ちゃんポスト」という字が識別できるよう看板にLED技術を使う。また、周囲に防犯カメラなどを設けず、乳幼児がポストに置かれ、ベルが鳴らされると赤ちゃんを連れて来た人物がいなくなるのを待ってから、派出所かセンターのスタッフが駆け付ける仕組みにするという。
ただ、赤ちゃんポスト計画に疑問を呈する声もある。深圳市全国人民代表大会(全人代)の楊剣昌・代表は、「広東人の多くは男尊女卑の考え方が根強い。もしもやり方がまずければ、捨て子の温床になりやすい」と懸念する。ネット上でも、子供を捨てる事を容認する行為だという意見が出ている。
これについて唐主任は、昨年同センターに送られて来た捨て子は92人。そのほとんどは病院のスタッフと警官が一緒に連れて来ている。ゴミ箱や病院の前に置き去りにされ、死んでいった子どもも少なくないと語り、赤ちゃんポストが子供を遺棄する非合法行為の場所であるという事実は変えようがないが、捨て子の命は救うことができると強調した。11月26日付け『晴報』、27日付け『亜太日報』が伝えた。